第39章 彼氏役を演じる

翌日の夕暮れ。

宇美グループ研究所の正門前。

南坂海乃が門を出た瞬間、少し先に人だかりができているのが目に入った。誰かが何かを見つけたように、入口付近を指さしてはひそひそと囁き合っている。

胸の奥が、いやな予感でざわつく。

次の瞬間、人の隙間から見えたのは――見覚えのあるマイバッハだった。

一晩で身なりを整えたのか、黒谷優はまた例の「できる男」然とした顔に戻っている。とはいえ頬には、昨日の平手打ちの痕がうっすら残り、薄くファンデで誤魔化したのが見て取れた。

南坂海乃の姿を見つけるなり、黒谷優の目がぱっと輝く。花束を抱え、周囲の視線などまるで気にせず一直線に近づいてきた。

「海乃...

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